■やっかいな国語 進化たどる
評 南陀楼綾繁(ライター、編集者)
日本語はなぜ、こんなに扱いづらい、やっかいな言語なのか? 作家として文章を書きはじめた若いころから、著者はこの問いを抱えてきた。
漢字の数がやたらと多い。また、同訓異字(同じ読みの異なる漢字)が多く、耳で聞いただけで分からない場合がある。文法が自由すぎる。などなど、つまりは「正書法」が確立していないのだ。
だから、明治以後の日本では、国家の土台となる「日本語」の同一性を求めて、前島密の漢字廃止論、西周(あまね)の国語ローマ字化論、森有礼の英語採用論などの議論が起こった。そして終戦直後には、「小説の神様」と称された志賀直哉が、フランス語を国語に採用せよという極論を唱える。0
引用元:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1201822/